体験的音声学~言葉の音のことさまざま

言語の音声を中心に、いろいろ考えます

2022-11-01から1ヶ月間の記事一覧

鍵か蟹かの鼻濁音

ガ行鼻音、いわゆる鼻濁音が、本来あった方言で消失しつつあることはつとに有名です。 このガ行鼻音は、声門閉鎖音と同じように、かつてはアナウンサーや歌手に対して、厳しく指導されていました。 現在では、NHKにおいても、全国的な傾向に鑑みてか、ガ行鼻…

Lの硬音~リトアニアの少年による厳しい指導

20年近く前のこと、エスペラント関係の知人を訪ねにリトアニアへ行き、1週間ほど過ごしたことがあります。 エスペラント体験についてはまたいつか書こうと思っています。今回はその過程でした貴重な体験をお話しします。 私はリトアニア語は話せませんで…

中国語の有気音・無気音と韓国語の平音・濃音・激音

韓国語には、例えばpという破裂音に、平音・激音・濃音という三種類の別があります。 中国語にも似た区別がありますが、中国語の有気音は韓国語の激音に、中国語の無気音は、韓国語の平音と濃音に該当します。 これを耳から習得することは困難ですが、音声…

音声と音韻

音声記号でも、正確な音声を表記できないと前回書きました。 それはなぜかと言うと、出す音声は厳密には1回1回異なっているからです。その異なる音声を各言語ではグループ分けしているのですが、それを研究する学問が音韻論です。 英語のRとLは別の音なの…

いわゆる「在日朝鮮人」の方から習った韓国語の発音

大学生の頃、朝鮮語もしくは韓国語の学習に凝ったときがありました。 当時はまだ学習書が少なく、詳しいものは大学書林の『朝鮮語四週間』でしたが、そこに書かれている話し言葉というのが、韓国人によると、時代劇で聞くような言い方だということでした。 …

「発音記号」は純正の「音声記号」にあらず

英語の辞書を初め、外国語を学ぶ本には発音の説明があり、そこに「発音記号」が用いられています。 これは極めて有用なものなので、学ばない手はありません。 しかし、英語の記号と音を覚え、他の外国語に手を付けると、奇妙なことに気が付きます。 同じ記号…

音楽の拍子は強弱アクセント

西洋の音楽には何拍子というのがあり、小学生の頃、この曲は何拍子かという質問が先生から出されたりしたものでした。 ところが、これが結構分かりにくい。特に、2拍子か4拍子かというのが分かりにくかった記憶があります。 大人になってからやっとその訳が…

「アルファベット」ではなく「ローマ字」

「ローマ字」という言葉の意味を誤解している人が多々あるようです。 ABCDという文字を「アルファベット」とも呼ぶので、それが文字の名前であり、「ローマ字」は、日本語をアルファベットで表記したもののことだと思ってしまうようです。 しかし、これは間…

広東語の発音は日本人にとっては普通話より簡単

中国人の書いた中国語学習書には、方言の説明として、広東語が一番難しいなどとあるものがあります。 現代の共通語である普通話にない「入破音・にっぱおん」が広東語にはあることと、声調が九つあるということからの印象でしょう。 ところが、日本人には広…

英語嫌いだった私を目覚めさせた本

中学卒業まで、私は英語が嫌いでした。全く勉強しませんでした。 何が嫌だったかというと、外国語の選択肢のなかったことと、英語イコール世界語という感覚だったと思います。 英語は英語圏の人間の言語でしかない。英語を話すものは自分の言語で話すのに、…

悪にはイギリス英語がよく似合う

日本で習う英語はアメリカ英語です。 「英語」とはしかし、字義の上では「イギリス語」です。 日本人は、世界ではアメリカ英語が主流だと思っている人が多いようですが、そんなことはありません。 イギリスの植民地だったところはイギリス英語の発音で話しま…

二重母音とは何ぞや?

外国語の勉強をしていて、よく出てくるけれども、「それが何?」と問いたくなるのが、 「二重母音」です。 説明を見ても、au, ai, ie, ouは二重母音である、のようにしか普通ありません。 要らない情報だと思います。 これが分かるようになったのは、先に書…