体験的音声学~言葉の音のことさまざま

言語の音声を中心に、いろいろ考えます

音声と音韻

 音声記号でも、正確な音声を表記できないと前回書きました。

 

 それはなぜかと言うと、出す音声は厳密には1回1回異なっているからです。その異なる音声を各言語ではグループ分けしているのですが、それを研究する学問が音韻論です。

 

 英語のRとLは別の音なのに、日本語では同じ音に聞き取られる、というのが良い例です。

 

 日本語と大変異なる音の分類をする言語として、有声音と無声音でなく、有気音と無気音に分けるものがあります。これは言語の系統に関係なく、例えばヨーロッパの言語では、英語やドイツ語と同系のアイスランド語がそうです。

 

 有声音と無声音に分ける言語と、有気音と無気音に分ける言語との話者が、互いの言語を学ぶのは容易ではありあません。片や、KとGは別、しかしKHはKに同じと聞き取るのに対し、他方では、K とGは同じ、しかしKとKHは異なると認識するからです。

 

 韓国語と中国語はそのような言語に入ります。その話者には「金閣寺」と「銀閣寺」の違いを認識することが困難です。反対に、日本語話者には、KとKHの違いが分かりません。

 

 困るのは、LとRもそうですが、音韻の違う言語の単語は、一旦正確に覚えたとしても、しばらくすれば頭の中で日本語の音韻に整理されて、違いが分からなくなってしまうことです。

 

 このような場合、音声学の知識を利用して、耳ではなく「舌の位置で」音を覚えると助けになります。