「ローマ字」という言葉の意味を誤解している人が多々あるようです。
ABCDという文字を「アルファベット」とも呼ぶので、それが文字の名前であり、「ローマ字」は、日本語をアルファベットで表記したもののことだと思ってしまうようです。
しかし、これは間違っています。
ローマ字は、ローマ帝国で使われていた文字の意味で、要するにラテン語の表記に用いられた文字の意味に他なりません。
アルファベットは、ギリシャ文字の並びの冒頭三文字「アルファ・ベータ・ガンマ」を代表させて文字の名称とした呼び方ですから、日本語の「いろは」と同じようなものです。
だから、ギリシャはもちろん、ロシアでも、自分たちの用いている文字のことをアルファベットと呼びます。
ABCDの文字名はローマ字です。英語でもromanizedという言い方がされますね。
当然、ラテン語のための文字なので、ラテン語の音声に適したものでした。
それをさまざまな言語に援用したため、そのままでは表記できない音が幾つも出てきて、各言語では独自の音の表記法を工夫しています。
このテーマは、英語式ローマ字表記法を日本語に転用したヘボン式の問題点の話に続きます。